ピンボールをめぐる冒険。
みなさん、ピンボールは好きかい?私は村上春樹の「1973年のピンボール」を読んでからピンボールが好きなので、今日はピンボール好きにとっての天国みたいなスーパー素敵スポットの紹介をします。
THE SILVER BALL PLANET|心斎橋BIGSTEP 3F
店長のなんばさんにお話を聞いたらなかなかの長さになったんですけど、おもしろかったのでできるだけそのままにしときます(これでもちょっと削ったりした)。個人的におもしろかったポイントはなんばさんはアメリカ住まいが長かったらしいので、話を文字に起こしているときにこの人は英語の文法で日本語を話してるんだ!という気づきがあったことです。
*
ーお店はいつからされてるんですか?
「2013年の12月くらいから」
ーお店にはピンボールは何台あるんですか?
「100台です」
ー100台ってことは、日本で1番多いんですか?
「保有台数をもっと持っている方とか場所はあるんですけど、100台常に稼働しているのはここくらいじゃないかな。ちょっと僕も確証はできないんですけど。他の博物館的にやっているとこがあって。うちはもうプレイしてもらうことが目的なんで、常にここにメカニックの人に居てもらって、常に壊れたら治すということをしているんです。稼働しているのは日本一?じゃないかなと思います。」
ーここはもう初めて3年ですけれど、初めたきっかけとかはなにかあるんですか?
「ここ運営している会社の人たち、僕も含めて、アメリカの文化が好きで。ピンボールも好きで。で、アメリカ村ってアメリカの文化の影響をすごく受けていて、自然発生的に生まれた場所なんですよ。何かを作りましょうってこういう村を作りましょうってじゃなくて、個人の人が集まって、それでアメリカ村って言われるようになったんですよ。で、ピンボールって年代ごとにデザインって見たらわかると思うんですけど違うんですよ。その時代時代のデザインや、その文化、映画だったり、がぎっしりこう詰まって、それを体感してプレイできるっていうんで、アメリカの影響を受けてできたアメリカ村の中で、アメリカを体感できる、雰囲気もね、アメリカらしいゲームなんで。そういうこともあってこれを作ろうと。」
ーアメリカでピンボールをされてたんですか?
「僕は実はこの運営会社ってアメリカにも事務所があって、まぁ貿易とかいろんなことで、そのアメリカの事務所の方の担当者で、ここだけじゃなくこのビッグステップをその3,4年前か、やるってちょっとこっち手伝うて、行ったり来たりしてるんですよ。だから、僕はずっとそのアメリカで生活してるんで、ピンボールはもうアメリカはすごい。もうみんながやってる。」
ー今でもピンボールは人気ですか?
「一時やっぱりコンピューターゲームにやられて、日本と同じでコンピューターゲームに押されてなくなったんですけど、またアメリカで復活してるんですよピンボール。今は個人が買うんですよ。今でも作ってるし。で、もともとはバーにおいてあったりあとゲームセンターも、アーケードってことでピンボールおいてあったり。だからもう誰でもちっちゃいときやったってのがあったんで。で、その人達が大きくなって、でまたピンボールやりたいってなって、で復活し始めて今アメリカってけっこうボーリングが復活してたりとか。っていうのはボーリングはアメリカの文化にすごい根付いている、どこに行ってもボーリング場があり、アメリカはどこの田舎にいってもピンボールがあったりしてるんで。そういうアメリカの生活に密着したものなんで。結局今アメリカってすごくノスタルジーなんですよ。その昔の古き良きアメリカのファッションだったりとかも戻ってきてるから。で、クラフトビールって自分でビール作ったり、大手じゃなくてコーヒーブームとかあるじゃないですか、サードウェーブみたいに。ビールを小規模の会社が作るみたいな。地ビールです。で、地ビールも扱ってる、ピンボールを置いてあるバー、みんなが集まる場所。がけっこうオープンしてるんですよ。ちょっとおしゃれな感じ。で、それが都市部ではそれがもうファッション的におしゃれって言う風に見られて、復活してるんですよ。」
ー日本でもまだ90年台はピンボールありましたよね、ゲームセンターとかに。
「あと風呂屋にあったりしたんですよ、むかし。僕は関東の人間なんで、大阪の人に聞いたら50代の人とか60の人とか。風呂屋にあったりとか、駄菓子屋にあったりとか。」
ー最近はもうすっかり見なくなりましたね。
「というのはピンボールのあとにやっぱりコンピューターゲームが出てきて、それに全部やられちゃって。アメリカでもどんどん会社が倒産して、一社だけ大手は残って。でそこがまた頑張って復活してきてアメリカでもまたピンボールブームがでてきた。」
ーまた流行る兆しみたいなのがでてきてるんですね。なんばさんは昔からピンボール文化に触れてきたんですか?
「そうですね。16からアメリカに行ってるんで。」
ー70年台くらいが流行ってたんでしたっけ?
「そう、70年台が一番すごいピーク。70年台80年代前半ぐらい、だからテレビゲームが出てくるまで。もっと古くからあるんですけど。」
ーその頃の台とかも置いてあるんですか?
「うちね、基本的に一番古いの78年かな、それぐらいからあとにしているんですよ。その前のやつっていうのはやっぱり、先程言ったみたいにうちはプレイしてもらうことが目的なんで。古い昔のまぁ資料的価値はあるんですけど、ちょっとあそんでてゆるい、ゆっくりだったりとか。」
ーじゃあもっと古いのもあるけどあくまで遊ぶことを考えた上で。
「そう70年代後半、ギリです78年か。」
ー新しいやつは派手でおもしろいですもんね。
「番新しいのがまだ作られてますから、新しいのはほとんどあります。」
ーけっこうやっぱ色んなメーカーとかあるじゃないですか。それぞれに特色とかあるんですか?
「僕そこらへん詳しくないんですよ。僕ね、一番ピンボールのなにが好きかってデザインなんですよ。横だったりとか。ライティングだったりとか。特に僕は70年台だったり80年台前半の、台のその格好良さ、デザインだったりとかフォントだったりとか、横のデザインとか。あんまりそのメカ的なことはその詳しいこうピンボールのゲームとしてのというよりもそういうのが好きで。あんまりガーッと台とかの詳しさには。そのピンボール自体のゲーム性というよりも、僕はピンボールっていう文化が、好きなんですよ。最初に見た映画でがんばれベアーズって映画があって、ゲームセンターでエアホッケー置いてあったりピンボール置いてあったり、ああいうこう、アメリカっていう文化が好きでアメリカに行ったんで。」
ーアメリカ文化が好きで、その中でピンボールが好きでこっちに持ってきたんですね。
「だから昔のゲームセンターとはぜんぜん違う感じだと思うんです。内装も、あそこにシャンデリア置いているのも。
瓶のコーラも置いたり。(瓶コーラの自販機がある!)
っていうのは昔はピンボール言ったみたいにゲーセンにあったりって、イメージ的にはただゲームして、ゲームセンターに男しか居なかったりちょっとワル系の不良が集まったりするゲームセンターもあったりとか、まぁそういうイメージだったと思うんですよ。僕らそれが結局ピンボールをもうほとんど知ってる人が居なくなったんで、もっかい再定義しようと。イメージを。で、格好良くしようと。だから並べ方もね、ちょっと斜めにしたりとか。普通だったらこうダーッと並べるでしょ。いっぱい入るように。そうじゃないように並べてるんですよ。」
ー格好良く見えるように?
「はい。並べ方にも気を遣ってるんですよ。で、赤と黒のデザインで。」
ーおしゃれな文化としてのピンボールを。
「ピンボールって格好良いんだぜっていう。ピンボール上手かったら女にモテるぜ、くらいの。」
ー当時はそんなこともあったみたいですね。
「そりゃありますよ。アメリカでもそうだし。上げるっていうカン!っていう音がするんですよ、クレジットが入ると(ピンボールは設定されている点数を越えるとカン!という音が鳴って1クレジット入ってもう一度プレイできるようになる)あの音はやっぱりオッっていう。なんでも上手かったらけっこうみんなの同級生とかにもこいつ上手いんだよピンボール、とかって。尊敬されたりするものって必要じゃないですか。女の子にモテる。大事じゃないですか、男の子ってね。だからそういう格好良いんだぜっていう。ピンボールって格好良い、僕もすごいデザイン格好良いなと思うんで。し、アメリカっぽいアメリカの文化。カウンターカルチャー。」
ーこの中でも特になんばさんが特に気に入ってる台はありますか?
「まぁね、プレイしたら新しい台がいいんですけど、デザイン的に言ったらこれは古いのから二番目なんですけどね、ステンシルで吹いたようなほんとアメリカらしいデザイン。ピンボールのゲームとしては置いといて。ほんとこのアメリカらしいデザイン。これも好きだし、
(Evil Kneivel 1978 )有名なスタントマンの台らしい。
あとは最近のでいったらまぁトロンとかも格好良いし。
(Tron Legacy 2011)未来感のあるデザイン。
このバリー、このデザインなんかもすごいアメリカっぽい。
(Centaur 1981)ちょっとこわいデザイン。
このデザイナーもすごい。
(BLACK HOLE 1981)盤面の下にもステージ?がある!
これはゴーストバスターズ。一番新しい台。去年、2016年。
(GHOSTBUSTERS LE 2016)ピカピカしててよい。
これ70年台にKISSが一番活躍してた時にできて、すごいデザイン的にもロックな感じですけど。
(KISS 1979)ロゴが光るのがよい。
それを、最近また新しく作ったんですよ。でも同じアーティスト使って、その時の残しながら、アップデートしていく。音とかすっごい良いですよ。デザインは70年台のその雰囲気を残しながらアップデートしていく。
(KISS Pro 2015)とにかくほんとに音が大きくてとてもよい。
結局ピンボールにしても、ボーリングが復活したのにしても、みんな誰でもできて、本当はゲーム自体は好きなんですよ。ただそれ自体が古くなっちゃって、枠というかゲームが、で今の子たちに合わなくなっちゃったのが、今の人たちにそのいいとこだけを残してアップデートしてって、するとみんなが飛びついてます。」
ーこっちのほうが目を引きますもんね。
「今のそのKISSはSTERNっていう会社で、そこが今、大手で一社残っている会社で、で、これがジャージージャックっていう新しくできた会社なんですよ。ホビットと、
(The Hobbit LE 2016)液晶もライトも綺麗。いかにも最新。
ウィザードオズ、これがまず第一号だったんですよ、新しい会社の。」
(75th Anniversary Wizard of Oz 2013)画面が綺麗で、あと盤面も賑やかでよい。
ーちゃんと新しいのも入れてるんですね
「ヨーロッパもできてるんですよ、新しい会社が。ビッグ・リボウスキっていう映画の台作ったりとか、あとエイリアンの台作ったりとか。ヨーロッパでもピンボールけっこう熱いんですよ。これバットマンの、バットマン66って一番最初テレビでやったバットマンシリーズの。これ日本で僕らちっちゃい時にテレビでやってたんですよ。僕らの最初のバットマンはこれだったんですよ。この感じで。
(BATMAN 66 SUPER LE)とにかく全体的にご機嫌でとてもよい。
これは記念モデルの最上級モデルで。今だいたい出るとスタンダード、リミテッドとか出るんですけど、これはスーパーリミテッドで世界で80台しかないんです。」
ーそれはすごいですね。
「だから、ほんとマニアの人が居たらこれは触らせちゃダメだって言ってます。東京の方のピンボールの会社のマニアの人とうちの人間話したら、これをプレイさせちゃだめですよって」
ードンドン叩いたりしますもんね。
「これはもうあの飾っとくものだっていうんですけど、僕らはもう全部プレイしてもらう。」
ーありがたいです。
「だからこれ、ゲームセンターでプレイできるのってここだけじゃないかな。世界的に。みんなだから、個人では持っているけどゲームセンター出すのは安いランクのだから」
ー壊れるかもしれないですもんね。でもバットマンも4台並べて。
「バットマンは全部ある。
たとえばこうマヌケなやつ。これも好きなんですよ。」
(The Flintstones 1994)ボタンを押すと喋る。楽しい。
ー見た目がやっぱり可愛いですよね。
「そうなんですよ、だから本当に見るだけで見てるのもすごく楽しい。その年代によって違うから、スターウォーズだって三部作デザインが違うから。見てるとやっぱり一台一台違うから、テイストが違うし。
(STAR WARS 1992)これはDETA EAST製。R2-D2が中にいる。
(STAR WARS Trilogy 1997)これはSEGA製。固まったハン・ソロがいる。
(STAR WARS epsode1 1999)これはWilliams製。奥に画面が映ってる。横にライトセーバーがついてる。
有名なデザイナーの人が居て、あ、これはあのデザイナーだとかっていうことがわかるし。
今若い子がけっこう来てて、女の子もすごく多いんですよね。昔ゲームセンターに女の子だけで来るとかまずありえないかったの。僕ら若い頃は。
今日もアメリカの新聞の記事読んだんだけど、シカゴで今コンベンション(発表会)やってて、ピンボールの。最近家族連れがすごく増えている。子供を連れた、8歳から12歳の子供を連れた、お父さんが30代40代ぐらいの人たちが、子供をつれて来てるんです」
ー流行ってた時代を知っている世代が親になったってことですか。
「そうなんですよ。で、ここも、それすごく多いんですよ。親子で来てて。」
ーお父さんが懐かしく思って子供に。
「そう、だからお父さんはだからすごく上手かったりするから、お父さんうまーいって言って、お父さんちょっと自慢げにやってるの見るの僕すごく嬉しくて。ほろっとする。こう親子で、なかなかお父さんバカにされたりとかも多いから。でもお父さんすげえって言って子供と一緒に遊べて、お父さんが尊敬してもらえるっていう。」
ーやっぱり遊びとかがうまいと尊敬しますもんね。
「そう、かっこいーって子供が単純にもうそれだけですごいと思うから、なったら良いなと思ってたんで。あとデートで来たりとかで、片方ずつフリッパーでやったりとかしてるの見たりとか」
ーほほえましいですね。お店しててよかったこととかはそういうことですか。
「そうです。ほんとにもう、色んな人が来てくれる。外国人がすごく多い。」
ーけっこう海外のお客さん多いですね。
「ここを、YOUは何しに日本へ?(テレビ番組)でなにしに来たんだってインタビューしたら北欧から大阪にピンボールしにきたって人いたみたいで、そのあとここの写真いれてくれたんです。北欧もけっこう熱いんです。昔からあるんですよ。っていうのは76年までかな、一時ね、ピンボールがアメリカの大都市で禁止されてるときがあったんですよ。シカゴはピンボールを作っている工場がいっぱいあったんですけど、ギャンブルにピンボールの機械を使われてたりしたんですよ。で、ギャンブル性を煽るものだ、ということでアメリカで禁止されたときがあったんですよ。街によって。だからどんどん海外に輸出したの。ヨーロッパとか。」
ーそれでヨーロッパにも定着したんですね。
「それがなぜよくなったかっていうと、ピンボールプレイすごいうまいやつが、議会に行って、これはテクニックのスポーツだ。76%かなんかはテクニック」
ー残りが運要素だけどテクニック要素が大きいと。
「そうそう、テクニックだから、ギャンブルにはならないっていうのを証明したんですよ。証明した議会っていう有名な事件があって。わざわざ議会でピンボールをしてこうですよってちゃんと証明したんです。これはギャンブルではなくテクニックが重要ですよっていうことを証明して、OKになった。まぁ儀式的なんだろうなとは思うんですけど。ただその時期はかなりヨーロッパとかにも送られてて。ここの毎月最終土曜日、今週土曜日もそうなんですけど、大会があるんですよ。ピンボールトーナメント。それはもともと京都で外国人の人が初めたんですよ。」
ーお店主体でじゃないんですか。
「違うんです。その外国人のお客さんが京都で初めてて、それが京都のやってたお店が閉まっちゃったんで、ここがオープンしたのを知って、なんだこりゃってことでやらしてもらえないかってきて、ぜひやってくれって言って。で、やってたのが彼が国に帰んなきゃなんなくなって、その時に参加した日本人の人が、引き継いでやって、ずっとやってて。
いま、彼らがここに集まる、それは僕も望んでいたことで、ここのピンボールを通して、ここでコミュニティができたらいいなと思ったんですよ。知らない同士でピンボールを通していろいろグループができたらいいなと思ってて、自主的に。そしたらやっぱそういうのができて、Silverball Satelliteっていう」
ーお店のホームページに乗ってますね。
http://www.silverballsatellite.com
台の遊戯説明とか。ここのお店がしてるんじゃないんですね。
「有志の人がしてるんです。で、トーナメントも彼らが運営してて、僕らが協力というか、」
ーじゃあここ中心に関西ピンボール勢みたいなものが。
「そうですそうです。これ自然に生まれたんですよ。で、その中でもここで初めてピンボールやった子とかが、触った子とかもそこに入ってて、この間も初めて優勝してて」
ーピンボールを始めるにはすごくいい環境ですもんね。
「で、彼らも好きだから、ここ残ってもらいたいと思ってるから、すごくよくしてくれて。台の不調とかも動かなくなったら分かるんですけど、なんか上がらなくなったとか、ほんとはこうやったらライトがつくはずなのにつかないってのは僕らでもわからない。でもその人達はわかる、好きだから知ってるから、言ってくれるんですよ。で、そのメカニックの人とも仲良くなって。」
ーあたたかいコミュニティが。
「できてるんです。だから僕らもできる限りのサポートをして一緒にこう盛り上げて。」
ーここができるまでピンボールはあそこのゲームセンターに1台か2台ある、みたいな感じでしたもんね。
「調整もあんまりしてなくて」
ーやっぱり大変なのはメンテナンスですか。
「そうなんです。ここを作るときも稲沢の博物館に行ったりしたら(日本ピンボール博物館、現在は休館中)やっぱり壊れてる台が多くて、メンテナンスが追い付かない。メンテナンスがキーだなと思って。で今ここやってもらってる方は昔リペアとかしてた人がいたんで、その人と出会えたことがキーでしたね。」
ーその方はもともとメンテナンスをされてた方なんですか。
「はい。で、もうピンボールだめになったんで他のとこで働いてたんですけど縁があって是非ここでってことで。」
ーその出会いは大きいですね。
「絶対それじゃないと無理ですよ。」
ーなかなかピンボールのメンテナンスの技術持ってる人いないですよね。古い台とかはサポートも無いでしょうし。
「メーカーのサポートも、結局アメリカから持ってきてるからメーカーのサポートはないです、メーカーもなかったりするから。でもパーツはけっこうあるんですよ。流用、他でも使えたりするし、マニアが作ってたりもするんですよ。だから絶対に治すの不可能みたいなのはないんですよ。新しい若い子も育てていかないと。」
ーやっぱりここで初めてピンボールをする人も多いと思うんですけど、初心者におすすめの台とかは料金が下がってる台ですか?
「そうなんです。入り口に10円のやつ置いたりとか。あれは100円で1回すぐ終わっちゃったらえってなるんで10円でまず練習してもらって。まず10円とか100円で4プレイの台でフリッパーの練習とか。で、だいたいこのライトの点いてあるところを狙うと、ゲームが。一台一台ゲームがあるんですよ。だからここのライトの点いてあるところを何回通してそしたらマルチボールっていっぺんに玉がいっぱい出てきてとか、それを解説してくれてるわけですね。(シルバーボール)サテライトは、ゲームのルールを。」
ーゲーム性むっちゃ複雑ですもんね。
「だからこうやってハマってきたら、どんどんどんどん次のレベルに行けるから。最初このフリッパーのコントロール、ボールのコントロールを勉強して、狙ったとこにいくとか落ちないようにするとか、ティルト(台を揺らしてボールをコントロールするが、台を揺らしすぎると台が停止してしまう)にならないように微妙に動かすとか。そういうのもね、大会の時に上手い人だけじゃなくて初心者もウェルカムなんです。初心者には台のその説明して、ここ狙ったらいいですよとか。」
店内にはインストカードも置いてます。
ー初心者大会とかもやってますよね
「そうなんですよ。でも人数がすくなかったりしたらマンツーマンでも教えてくれるから。」
ーそれは上級プレーヤーの方が。
「そうです主催者の人がこの台はここを狙って下さいとかここはこうやったらとか教えてくれるんで、だから一回この大会に出ると、ビギナーズラックで上手い人でもボール落ちちゃったりするから、一回出るとプレイ代だけであ、こうやってやるんだって上手い人のも見れるから。ここはこう狙ったらいいですよとか、すごく台を教えてくれるから。やっぱりピンボールだけに限らないんですけど、上手い人ってこう見下すときあるじゃないですか。それすると初心者はもう嫌になっちゃう。俺のが上手い、俺のがえらい、みたいな。ここに来る人達はそれを一番しちゃいけないと思ってるから。みんなここを盛り上げたりピンボールを盛り上げたいから。いかにみんなに楽しんでもらえるかってなってるから。あたたかいです。」
ーやっぱり始める上で詳しい教えてくれる人が一人いたらめっちゃ助かりますもんね。
「その人達がここにいたらみんなボランティアで教えてますよ。このゲームこうやったらいいよとかわかんなかったらそうやって教えてくれる。自主的にやってくれるからほんと助かるんですよ。」
ーむちゃむちゃありがたいですね。
「すごいそれが僕らも願ってたんで、ヌシみたいに飲み屋でもなんでも常連さんが大きい顔してたらみんな来ないじゃないですか。じゃなくてほんとにたとえばクレジットとか残ってたらどうぞこれやって下さいって言って来てる子たちに言ってくれる。タダでこれやっていいですよって言ってくれるし。だからね、ほんと大会にポンと来て、誰でもこう来て参加費も無いから、で一回やってみるのが、初めてなんですって言ったら横から喜んで教えてくれるから、それが一番入り口としてはいいかもしれない。もしあれだったら土曜日四時からやるんで明日来たらパーッと教えてくれるんで、出たら、ピンボールもすごく教えてくれる。それが一番深くピンボールの面白さがわかる」
ーやっぱりハマったり上達するコツは大会に来るのが一番早いんですね。
「それは本当に教えてくれるからピンボールのことを。でも、バカにしたりとかは一切ないから。」
ーお店の施設だけでもすごいですけどその環境ほんと大きいですね。
「僕ら本当に感謝してます。」
ーやっぱり箱だけ作ってもなかなかそれで回らないですもんね。
「やっぱ入るときって大事じゃないですか。なんか始めるときって。もう二度と行かないとか、あそこちょっとやだとかってなるのは嫌だから、ここの人たちはほんとよくしてくれる。」
ー見た目的は面白そうだけどちょっととっつきにくいとこもありますもんね。
「だってスマートボールと間違えてる人が多くて。だからお金入れてボール弾いて横のボタンに気づかずにずっと見てる人がいるんです。何度も言いました。あー!って。」
ーなかなかピンボールを知らない人多いですもんね。
「ピンボールの台とかゲームに関しては明日ですね。大会で聞いてもらうのが一番。」
ー明日も来させてもらいます。僕もピンボール好きなんで。
「だったらぜひ大会に。大会って言い方、その大会って言うとすごくハードル高いんですけど、全然大会って言いながらも誰でも子供でも来ますよ、お父さんと。常連さんで、お父さんと小学校低学年の女の子と高学年の男の子親子さんよく来るんです。お父さんよりも最近子供のほうが上手かったり。家族で出てくれたり。外国人も日本に来たとき出てくれたり。」
ーピンボール文化が根付いてるところの人からしたらすごいことでしょうね。
「ここに居たら日本人の奥さんとアメリカ人のお父さんと子供の家族がそこらで食事して出てきて、ここのこと知らなかったんでしょうね。ふっとアメリカ人の旦那さんが急にオーマイガー!って興奮して入ってきて、奥さんなんだかわかんないんですよ。その人はもう僕をぱっと見たら急にガーッと喋りだして、俺ちっちゃいときこのゲームやったこのゲームやったうわー!なんだここはー!って。奥さんはどうしたのこの人って感じになっちゃって。それくらいアメリカ人はノスタルジーというか、これ昔よくやったんだよこのゲームって。」
ー思い出の台なんでしょうね。
「(店内で流れている)このインタビューしてる映画の中で、一人のピンボールプレイヤーの話なんだけど、今はこうすごくデジタルになって、好きな映画はDVD借りたりネットでダウンロードできるし音楽もダウンロードできる、ちっちゃいとき見た映画もっかい見たいとかちっちゃいとき聞いた音楽もっかい聞きたいとかいつでもできる。でもちっちゃいときしたピンボールはプレイしないとだめなんだ。その体験はその台、初めてのデートでプレイした台とかはそこでプレイしなきゃだめ。やるとそういうのがもっかい思い出されるんだよ、昔のちっちゃかった頃が。アメリカ人はちっちゃい時にプレイしてるから、その時に戻れるんですよプレイすると。だからその台ばっかりしてる常連の外国人の方はいますよ。だからいろんなことを考えながらやってるんじゃないですか。こないだちらっと話してたら、彼女と初めてデートした時にプレイした台って、奥さんもニヤッとして、年配の方なんだけど。多分日本に旅行しにきてまさかここでプレイできるとはって。」
ーもうそこにも無いでしょうからまさか日本で出会えるとは思わなかったでしょうね。
「でもいま都会に復活してきたっていうけど、田舎の方はもう無いから。そのひと達は昔はあったけど、もうウチの地元にはないから、ここに来てびっくりしたって。こんなピンボールがあってって喜んでくれたり。
もう一つの違い、テレビゲームって、まぁロールプレイングでも、ゴールしたら終わりじゃないですか。終りがあるじゃないですか、クリアしたら。ピンボールって勝ってるうちは一生終わんないんですよ。終わりが無いんですよ。プレイがうまくいってるうちは。上手い人はもうずっとプレイしてる、帰るまで。勝ってるうちはずっとやっていけるんですよ、何時間も。終わりがない。ゲームは終わりに到着すると終わりでしょ。これはスコアもどんどん上がっていくから終わりが無いんですよ。結構疲れる。僕らも年取ったから腰とかも疲れる。集中力もすごい必要だし、体力使う。腰とかぐっと動かすじゃないですか。上手い人ほどぐっと動かすから。」
ー台を動かすのもどこまでやっていいのかわからないですよね。
「台によって違うから、ティルトって。そこも考えてどこまでいけるかっていうのも。常連さんはそこも多分知ってるから。ここはちょっとキツイですよとか。」
ー奥深いですね。だからずっとやり続けられるんですね。
「そうなんですよ。ゲームはそこ(終わり)に向かっていくんで。ピンボールはもう勝ってるうちは終わんない。」
ーピンボールという文化もまた盛り上がる兆しがあったんですね。
「さっき言ったみたいに、ボーリングにしてもピンボールにしても誰でもやったら楽しいんですよ、単純に。ゲーム自体。ただ、その時代によってみんなライフスタイルも違うし、流行も違うじゃないですか。そこに合わせていかないと。だからアレンジするんですね。ゲーム性だったりとかデザインだったりとか。ボーリングも、いまアメリカで復活したのはやっぱり椅子が、レーンで借りた時にシャンパンとセットだったりとか。革のシートで何時間プレイし放題で、四人で六人でパーティーとか。だからゲーム性というよりも、一時アメリカの方でもどこもそうなんですけど、コンピューターで一人で過ごしたりとか、ケータイで一人で過ごす一人で過ごす時間が増えただとか、その反動でやっぱみんなが集まって食事したり遊んだり大事じゃん。そういう場所を求め始めて。でピンボールとかボーリングってアメリカ人誰でもできるから。で、その昔のカルチャー、アメリカの文化を見直そうって文化があった。で地ビールとかウイスキーとか飲みながらピンボールとか。でも何も変わってないじゃないですか。ピンボール台は昔からあったんですけど、まぁ今でも作ってるんですけど。でも置いて若い子きたらおもしれーって遊ぶわけですよ。でもそれが、外が古くて昔の80年台のまんまの外側だったら若い子止まりもしない、中も入ってこない。」
ー入りやすい環境とかを整えてあげたら今でも十分通用する面白さがあるんですね。
「機械自体に罪はないんですよ。ボーリングのゲーム自体に罪はないんですよ。それのプレゼンテーションが、現代っぽくなかったから」
ー伝え方を努力したらまだまだ楽しめるんですね。70年台後半からの台を置いているっていうのもそこを考えてやってるんですね。
「だからもうけっこう試行錯誤して、テレビゲームに一回やられて、それはゲーム性として落ちたのはしょうがない。でもいま復活してきてるから。そういった昔の文化が、若い子はテレビゲームもちろんアーケードゲームも復活してるんですよ。ピンボールだけじゃなくて。80年台のパックマンだったりとか。あの頃のアーケードゲーム。で、日本橋のアーケードゲームばっかり集めたとこがあって、そこの店も僕も常連で、けっこういい関係あるんです。だからああいいうのが復活してるってことはちっちゃい頃遊んだ人たちが、それを今に復活させて、今の感覚でそこで何度も遊びたい。だから大人がおもちゃ集めたりフィギュア集めたり。」
Tシャツも売ってます。
ーこれからも台はどんどん増やしていく感じですか。
「新しいのはだいたい置いていこう。どんどん入れていこう。まだ年間2台とか3台とか出てるんで。」
ースターンとジャージージャックがまだ作ってるんでしたっけ。
「で、他にも1社2社あるんですよ。やっぱりそこからも。今入ってきてます。個人が始めてるんですよ。自分でピンボール作って。」
ーなかなか最新のピンボールできるとこってないですもんね。買おうと思っても簡単に買えるものでもないし。
「メンテナンスも。最近ここが知られるようになって。個人で持ってる方からオーバーホールして頂けますかとか、直してもらえますかとか。うちは一切やってません。」
ー改めてここのお店はすごい環境ですもんね。
「だから僕らも社会事業的な、ピンボールという文化をアメリカ村から発信していく。まぁそれに気付いてくれる人もいるし、まだまだそこら辺は気付いてくれない人も多いんですけど、でも若い子たちが来てほんと楽しそうに、SNS見てると初めてやったけどすっごい面白かったとか。僕らも嬉しい。まぁ知ってくれてる人達もいるし、初めて来る若い人たちがおもしろい言ってくれると間違い無かったなと。ピンボールが面白いと思った俺達は間違いなかったなと。」
ーSNSとかインターネット見てるとここができてから関西のピンボールプレイヤーのレベルがすごく上がってきてるみたいなのも見かけました。
「と思うんですけどね。まだまだ増やしたいですそういう人たちを。」
ー最高の環境ですもんね。日本一の環境でできますもんね。
「世界でもアジアから、香港からも来る人もいるし。バットマンの台にしてもアメリカでもできる人はあんま居ないんじゃないかな。」
ーそもそも80台ですもんね。
「スーパーリミテッドエディション」
ーそれが100円ですもんね。ありがとうございます。
「それだけ1000円ってわけにもいかないから。どれも100円でしょう。それもね、上についてるあのランプみたいなのあるでしょ。あれ最初違うのが来てたんですよね。僕ら気付かずに見た目は同じなんですよ。常連さんがスーパーリミテッドのやつじゃないんじゃないですかって言って、写真と比べても同じだから。スーパーリミテッドはライトが点くでしょ。で、問い合わせたら間違ってないですかって言ったらごめん間違えてたってすぐ新しいの送って。常連さんが見つけてくれたんですよ。」
ーみなさんすごいですね。今日はゆっくりピンボールをさせてもらいます。明日の大会も参加しようと思います。どうもありがとうございました。
*
これだけ話を聞いた私はなんだか楽しくなってしまって、それから店にあるピンボールを全台プレイしたのですが(8時間くらい掛かった)とりあえず全台の感想はこれもまたやたらと長くなるので別に書きました。
SilverballPlanetピンボール全台プレイまとめ。 - 黒い郵便船
ちょうど翌日が大会だということで参加してきました。普通の大会と初心者大会が同時にやっていたので、初心者大会に行くとその日は初心者大会は参加者が少なかったのでほぼマンツーマンのような形で経験者の方に教えて貰いました。フリッパーの使い方やボールのコントロールの方法などを教わり、特に台のどこを狙うと高得点が入る、みたいな台ごとの細かいルールを教えてもらえるとより楽しめるようになってすごいよかったです。ピンボールは予測のスポーツでもあるらしいので、とにかくボールの軌道を予想するのがいいみたい。あと自分がプレイする台を決めてやりこむとどんどん上達するらしい。初心者の方じゃない大会も初心者の方も初心者も全然参加しても楽しそうな感じだったので、次回は参加しようと思います。
優勝するとトロフィーがもらえるみたいです。とにかくみなさんピンボールをしましょう。
とっぴんぱらりんのぷぅ。