君の名は。を観て泣いている馬鹿どもは今すぐ山田尚子監督作品を観ろ。

なんか炎上狙いのタイトルみたいですね。まぁたまにいいんじゃないすか、こういうのも。今日は荒んだ気分なのです。腹も痛いしね。

 

そういえば、世間様はシルバーウィークだかなんだか知りませんが、私もその流れに乗っかって4連休と洒落込みました。連休中は主に食べていました。珍しくお酒も飲みました。後はキャンプをしたり牛タンを焼いたり岩手に行ったり帰ってきたりしていました。休みらしい日々。

 

で、連休の最終日に家でのんびりするか、となり、それなら聲の形を観に行くかどうか決める為に山田尚子特集をするか、となり、レンタルして観ましょう、となりました。

 

で、映画けいおん!たまこラブストーリーを観ました。素晴らしい。

 

山田尚子監督について。

けいおんはTV版はなんとなく楽しさがわからなくて一期の途中で切った。なのであずにゃんはよく知らない。たまこマーケットも観てない。シリーズ演出だった響け!ユーフォニアムは観てた。田中あすか先輩可愛い。たまこラブストーリーは評判がすごく良かったのでずっと気になってた。ので映画けいおんはついでに、ということで。

 

で、映画けいおん!

本当に素晴らしい。始まった瞬間から画面が面白い。けいおんもよく知らないし特にキャラクターにも思い入れなんて無い。それでもすごく面白い。ストーリーが面白い訳でもない、ただキャラクターがその時間を生きていることを丁寧に切り取って描く、というだけで十分過ぎるほどに面白い(あるいはキャラクターが生きている時間を切り取って描いている、のかもしれない。虚構であるアニメーションで「創り上げる」ではなく「切り取る」という表現の方がしっくりくるということが作品のレベルの高さの証明である)。劇場アニメで110分という尺の長さも満足感が高い。これだけ長くても中弛みなどせずに(あるいはずっと中弛みしながら)幸せな時間を丁寧に描く。背景も美しいし、そこにしっかりロケハンしたんだなぁということが感じられる、手触りのある背景。そこにキャラクターが居ることで画面としての調和のレベルが高い。そして動く。視覚的に楽しい。とにかく、あらゆる要素に対する監督の愛情、優しい目線が感じられる。終盤、もうなんかちょっとした奇跡みたいに美しいしシーンがあって、なんかもう素晴らしいですね状態になりずっと口を開けていました。繰り返しの鑑賞に耐え得る素晴らしい作品でした。

 

たまこラブストーリー

TV版は全く観ていないんだけど、話はシンプルで分かりやすい。商店街の幼馴染の恋愛を、これまたただただ丁寧に描く。本当に、お話もシンプルで、ドラマチックとは言えないかもしれない。その二人の細やかな物語を丁寧に、愛情を注いで描く。それだけで素晴らしい作品として成立する。見てて恥ずかしくなるようで、なんかもう楽しくて仕方がない。あまりネタバレは避けるけれど、それでも序盤の流れ、からの中盤のシーン、そこからの後半。その流れやそこでのキャラクターの心情を丁寧に描いていますね、もうほんと。この作品は90分弱なので、物語の構成がとても上手。少なくはないキャラクターを自然に生かし、主人公以外もみんな生き生きしててほんと可愛いなぁってなる。みどりちゃんかわええなぁ。またこの作品は暗喩に富んでいて、あらゆる小道具などに意味を考えてみると更に深く楽しめる、みたいな楽しみ方もあるみたいですね。観る度に発見がありそう。映画けいおんが変わらない日常を描いたのであれば、たまこラブストーリーは変わらない日常から踏み出すその一歩を描いていました。素晴らしい。

 

どちらの作品にも共通するのが、ありふれた日常に対する愛情。何気ない日々も丁寧に描くことでここまで作品として成立する、ということが素晴らしい。それにこれは要は決してドラマチックではない私達のつまらない日常に対する讃歌だで、そこがつまり監督の大いなる愛情とその実力であり、そして以外とまだ31歳なのね、となり驚愕とか尊敬とか絶望などの各種感情に繋がります。

僕もドラマチックなことなど何も起こらない作品が好きで、それこそが、結局普通の人の普通の日常こそがなにより素晴らしくて尊いんだよ、というスタンスな訳です。どれだけの波乱万丈な日々より、「今日はうどんを食べました、美味しかったです。」くらいのことで十分面白いと思いたいですね。しかしどちらかというと私はドラマチックな日々を送っており、そこに理由を求めると、結局その方が他人に面白がられるからであり、結局自分の本当に好きなことよりも周りに受け入れられるキャラクターを創り上げることの方に力を入れてますね。実に良くない。どれだけドラマチックな事件より平凡な日々が尊いとされる世界を作りましょう。それがつまりは君の名は。より聲の形がヒットする世界であり、その為に私は聲の形を観に行こうと決めたのでした。でも聲の形って割と過剰に感動寄りの原作だし、予告編も感動寄りの作りだったからそこが不安ではある。ただただ丁寧に描いてくれればそれでいいのに。でもまぁ、とにかく観に行くとしましょう。

 

自分の好きなものを伝える時に好きではないものを悪く言うのは悪手です。本当に伝えたいメッセージが歪む。それに伝える努力を放棄して悪口で人の目を引くなんて、本当に幼稚なやり口。次から気を付けましょう。過剰にキャラクターを演出してしまうこの呪いから早く解放されたい。とにかくみなさん、ふつーのみなさんの平凡な日々を愛でましょう。とっぴんぱらりんのぷう。