死にそうな猫と死んだ猫。

今夜も風が弱い。
風が弱いから、蚊が出る。
血を吸われる。痒い。我慢する。
もうすぐ12時なのにまだ月が低い。
猫の歯が深く刺さった指が痛い。

今夜も文章を書く。
一行書いては読み返し、もう一行書いては読み返し。
とにかく今夜も、文章を書く。

最高気温は32℃。
気温が高くなくても、風が無いと汗が出る。
どうも体が怠い。水分補給が足りてないのだろう。
日が暮れて、気温が下がると動き易い。
出来るだけ早く寝て、明日はしっかり水分を摂ろう。

よく宿に来る猫の怪我が日に日に悪化している。
そろそろ死ぬのではないか、と思う。
死の匂いがする気がするし、実際傷口が膿んでいて臭う。
同じ宿の台湾の人が、病院に連れて行こうと言っていた。
そこは僕の領分ではないと思うので、曖昧な返事をした。
個人的に猫のことは好きだし仲も良いので、病院に行ってまで生き永らえたいか、と聞いてみる。
猫は少しこちらを見たけど、何も答えなかった。
今夜は猫は、昨日より少しだけ元気そうだった。

昼間、その猫を探していると、見覚えのある子猫が壁と壁の間に首が挟まって死んでいた。
そのままだと苦しそうだったので、土に埋めた。
その子猫を可愛がっていた人には言わないでおいた。

とにかく文章を連ねる。
毎日文章を読んで、毎日文章を書く。
面白くなくても、つまらなくても、これが僕の文章なのだ。
ここまで書いて、危機感を覚える。
自分で自分の文章を面白くないと思いながら書き続けるのはマズい。ただの苦役かよ。
とにかく楽しく書こう。書き続けよう。
毎日普通のことを書いているのに、それが積み重なることで軽めの狂気みたいなものが感じられると素敵ですね。

ガラベーヤ(エジプトの民族衣装)を買った。
ターバンと頭に付ける黒い輪っかも買った。
値切り倒して三点セットで70ポンド(1000円位)」
多分まだ値切れるんだろうけど、満足な買い物。
真っ白で襟があるから、リベリオンの時のクリスチャン・ベールみたいになるかなと思ったけど、ただの石油王だった。
我ながらよく似合う。顔と髭が濃くて良かった。
よく似合うというか自然だった。ただの現地の人だった。
ベドウィンって言われた。ベドウィンって響きが格好良い。
ベドウィンは砂漠の住人のことらしい。
砂漠の住人って響きが最高に格好良すぎてヤラれる。

こののんべんだらりとしたダハブ生活ももうすぐお終い。
折角なので最後までのんべんだらりとしてやりましょう。
日本に帰っても、のんべんだらりとする気もしますが。
ともあれ、来週には帰ります。
おはようございます、おやすみなさい。