誰も私に鍋のことをちゃんと教えてくれなかった。
とりあえずまずは鍋の話をしようと思う。アイドルになった日の話はまた今度書こうと思う。オーバーザレインボウの話はそろそろ書けそう。こないだ市場的なところに行って、でかい白菜1玉とでかい大根1本を150円と100円で買えたのでとりあえずしばらく鍋でもするか、となったわけです。鍋が特に好きではない一人暮らし男性が連日鍋を食った記録です。
- 1日目
とりあえずもらいもんのいい鍋のやつがあるから初日はそれで。白菜と大根を1日1/4ずつ消化していくことに決定。あと豚の切り落としと油揚げを追加で入れる。このだしつゆセットは1人前×2回分って書いてあったんだけど、こいつの言ってる1人前は白菜3枚とか水300ccとか完全におままごとなので話にならない。ふざけてるのか。とりあえず材料を雑に切って2人前である程度煮て食べる。
一人暮らしの鍋はわざわざカセットコンロなんかは使わない。そもそも私はばくばく食べれないから熱々のものがあんまり好きではない。世の中の熱々信仰はいかがなものか。熱々だと味より熱いが勝つのだ。けして猫舌な訳ではないのだけれど。台所のコンロで煮てから運んで机で食う。なんかちゃんとした味がしておいしい。私は油揚げがすき。ただ私は別に胡麻がそこまで好きなわけでもない。なるほどはいはい鍋ですね〜と思いながら食う。
あらかた食べ終わったらうどんを入れてまた煮て食う。味がしてうまい。これ残りの汁がなくなるまでうどんを入れて食べるやつがひたすらできるぞ!ってちょっと楽しくなるけど、うどんは案外汁を吸うのですぐなくなる。無限ループは存在しないのだ。かなしい。
- 2日目
もらいもんのやつがもう1つあったので今日もそれでやっていく。勝手がわからないことにはとりあえず出し惜しみせず初手から全力を出していく、という方向でいくことにする。STGをずっとやっているとボムの抱え死にがとにかく1番よくないことだと学ぶことができます。具は1日目と同じく白菜大根に豚肉と油揚げ。鍋の大きさがギリギリすぎたという先日の反省を生かして一回り大きい鍋でやります。
味がしてうまい。胡麻よりは味噌の方が好きなのだけれど、これは具がたくさん入った味噌汁となにが違うのかがよくわからなくなる。私は鍋やおでんのことをだいぶ軽視している感じがある。いくら味噌汁に具がたくさん入ったとはいえ、味噌汁一品でごはんですよ〜と言われてもなんかさみしくないか。ごはんとおかずが別にほしくなる。そんなことを思いながらもしゃもしゃと食う。
鍋の中身がなくなったらうどんを入れて煮て食う。味がしてうまい。みそしるをめしにかけて食ったらうまい、みたいなものだなぁと思いながら食う。とにかく鍋に対して思い入れがなさすぎる。
- 3日目
鍋セットがなくなったのでここから雑さが加速する。とりあえず大根白菜豚肉油揚げにもやしを追加して、顆粒の出汁とか味噌とかつゆとかで適当に味をつけて煮る。
なんとなくそれっぽい感じになる。あと、日に日に量が多くなる。もやしを入れることで全体の味が薄くなるのでふわっとしてくる。とりあえずつゆを足して塩気のバランスをとる。なんかひたすら野菜を食っているなぁと思いながら食う。食べたあとうどんを入れて食べたはずなんだけど写真を撮り忘れた。鍋を食べている段階で鍋の味は把握しているのでうどんを入れたところで特に驚くような味になるわけでもない。ただその味がするうどんをずるずると食べた。
- 4日目
とりあえず今日で白菜も大根も無くなるので嬉しい。250円分の野菜で4日間お腹いっぱい食べれるので鍋は安くあがるという説にはなるほどと思わされる。今日は追加でキムチを入れてみる。あと、なぜかテンションが上がってしまったのでもやしを2袋も買ってしまった。冷凍庫の油揚げを切らしているのを忘れていたので油揚げはなし。白菜大根豚肉もやしキムチを味噌で煮てみる。
もやし2袋を入れたのが完全によくなかった。完全にもやし。もやしは水気が多いのでどうしても味が薄くなる。なんかもう面倒になってそのまま食べることに。油揚げが無くなることで豚肉と油揚げが担当していた油分が豚肉だけになりなかなかつらいことになる。ぼんやりした味の野菜をただひたすらもしゃもしゃ食べる。鍋に対する理解と愛情が無いので適当に作った結果、素材同士の掛け算がまるで起こらずにただ味噌とキムチの味で煮た大量の野菜と肉みたいなことになる。なんだこれと思いながらひたすらに食べる。お腹がいっぱいになったのでうどんはなし。お腹はいっぱいになったのだけれど満足感がまるでなく、すごく悲しい結果になってしまった。連日鍋をすることで、逆に鍋のことがそんなに好きではないことが明らかになってしまった。ちゃんと向き合うことで断絶が明らかになるやつを食事でやってしまった。そんな悲しいことをわざわざ食卓でする必要はまるでない。
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そもそも私の鍋の認識がたくさん野菜を食べるやつ、なのだけれど私は野菜をそんなに食べたいわけではないのだ。例えばしゃぶしゃぶの食べ放題に行っても私は肉しか食べないし、自宅ですき焼きをする時も具は肉だけだし、私は鍋における野菜のことをどうやらノイズだと認識しているらしい。私はすぐ本質的にはみたいなことを言い出すめんどくさい人間なのだけれど、私から見たら鍋の本質は肉なのだ。私にとっての湯豆腐なんて昆布出汁で煮た白菜と豆腐、つまり完全な「無」なのだ。今回の敗因としては、私にとっての鍋は肉以外に価値はないのに世間の鍋のしきたりに従って野菜たっぷりでやってしまったことにある。しかし具材を肉だけでやる時に鍋が最適な調理法かと考えるとそうではない気がする。つまり鍋という調理法を選んだ時点でどうやら詰んでいたらしい。なかなかに厳しい。とにかく愛情がないのが厳しくて、鍋をおいしくしようとがんばるのなら他の料理でがんばった方がいいに決まってる、という結論が出てしまう。
あと、友達が「やっぱり冬は鍋だよね」みたいなことを言ってたのでひたすら鍋をしていた話をしたら「えっ1人で?」って驚かれた。世間のみなさんは「冬は鍋だよね」みたいな話すごくするのにそこに(ただしの1人の時はのぞく)みたいな前提があることを誰もちゃんと言ってくれなかったので騙されたみたいな気分になった。「1人でやるのは違うけど、複数人集まると冬は鍋だよね〜」みたいな風にちゃんと言うか、気を遣って一人暮らしの人の前では「冬はやっぱり鍋だよね」みたいな話をしないであげて欲しい。真に受けて1人で鍋をしてどうもしっくりきていない人もたくさん居るんだと思う。まぁ単純に自分が鍋があまり好きでないことも大きいんだけど。とにかくまずはみんなで一緒に鍋を囲むところからお願いします。こちとら冷凍庫にカニ詰めて待ってますんで。いつでもカニしゃぶの準備できてますんで。どうぞよろしくお願いします。
とっぴんぱらりんのぷぅ。